その心は磨けるものである.という発想が日本にある 第 696 号

 先生と初めてお会いしたのは昭和56年。

 先生50歳、不肖33歳。

 以来36年、親しくご交誼ご指導をいただいた。

 先生は本誌の向かわんとする方向を評価され、

『致知』の発展を心から願ってくださっていた。

 亡くなられたいま、その恩徳の大きさ

深さに改めて思い至る。

 本誌にとって先生は、まさに恩師であった。

 先生の思い出は尽きない。

 特に鮮烈に残っていることが二つある。

一つは……

   ──最新号「特集総リード」より

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 本誌(『致知』)の恩師であった渡部昇一先生は、

長年にわたり『致知』を心から応援して

くださっていました。

 最新号では多くの著名人からいただいた追悼の

言葉をご紹介しておりますが、本日は、『致知』

創刊35周年特別講演会の折に開催された「記念

シンポジウム」で渡部先生がお話しされた

ことの一部をご紹介します。

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 日本人の道徳性、心というのは世界的に突出

していると私は思います。

 大震災以来、世界の人もそれを認めるようになって

きたと思いますが、その日本の心を本当に継承して

いる雑誌は私の知る限り『致知』しかありません。

 日本は仏教国ですが、日本の仏教で一番偉い人

でもお釈迦さんよりは偉くないでしょう?

 日本で漢文、儒学を勉強した人がいますけれ

ども、孔子よりは偉くないでしょう?

 日本の哲学者でうんと偉い人がいるけども、

ソクラテスよりは偉い人はいないでしょうね、

そう思うと、本当の一流はいないんじゃない

かなという感じもするわけです。

 ところが、日本の道徳性はどう考えても、

世界最高の一つなんですね。

 私は日本は世界中の常識を180度変えたと思う。

 というのは、日本はいま私が言ったような

考えを克服したんですね。

 江戸時代に心学というのが出ました。

 世界に類がないから、あまり世界で取り扱われて

いないけれども、世界が思想的にまともになると

すれば、日本の心学が一番いいと思うんです。

 心学は、まず人間には心がある

ところから始まるんです。

 その心は日本では三種の神器の

勾玉に譬えられています。

 玉のような心ならば磨けばいいじゃないかと。

 磨き砂はなんであるかといった時に、

仏教の教えでもいいし、

儒教の教えでもいいし、

神道の教えでもいい。

 なんで磨いても立派な教えで磨けばいいんです。

 世界の宗教、哲学の常識を180度変えた、

というのはそこなんです。

 キリスト教徒はキリストに従うのがいい。

 仏教徒は仏教の教えに従うのがいい。

 ところが日本の場合はもう一つ

高い視点があります。

 まず人間に心があるというのは

厳たる事実です。

 その心は磨けるものである、という発想が

日本にあるんですね。

 これは勾玉がたまたま象徴されたことから

来たと思いますが、いかなる違った宗教

でも立派な教えであれば、自分の

心を磨くことができる。

 これは世界に誇るべきことですよ。

 日本にはその考えを普及して、日本人の全

道徳水準を上げた実績があるわけです。

 ところが、野間清治が亡くなってから

出版界ではあまり実感されない。

 それを『致知』は受け継いでいるんです。

 野間清治よりもさらに完璧に。

 ですから『致知』こそ本当に

日本的な雑誌なんです。

 『致知』を伸ばすことが真の日本文化を

高めること、広めることの一番の根幹に

なると私は信じてやみません。

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あなたの心を磨く糧となる『致知』
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今回も最後までお読みくださり、ありがとう

             ございました。感謝!

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