ただ月のように母の命を静かに受け止める 第 1,893 号

2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を
発症するといわれ、誰もが認知症と無縁では
いられない時代がやってきます。


そこで本日は、20年以上にわたる認知症の母の
介護に向き合い、その体験を詩に綴ってきた
藤川幸之助さんの作品を特別配信します。


藤川さんの体験談や詩作は、
近年、NHK Eテレ『ハートネットTV選』、
『朝日新聞』天声人語欄にて紹介されるなど、
大きな反響と感動を読んでいます。

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『支える側が 支えられ 生かされていく』
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●詩「キューピー」

母はキューピー人形を大切に抱え
やさしくあやしていた
恥ずかしいからやめろと
私が人形を取り上げようとすると
母は決して渡そうとしなかった

取り上げようとした
キューピー人形は幼い私
母は私を抱きかかえて
頭をやさしくなでて
乳をやろうとしていた
畳の上に大切において
大まじめでオムツを替えようとしていた

キューピーちゃんは
パッチリと目を開けて
母の愛を見つめたままだった
母さん!今は
その子が母さんの
オムツを替えているんだよ

認知症の人が昔に返るとき
一番充実した日や
一番楽しかった日に返ると聞いた
私もさながらキューピーのように
パッチリと目を開け母を見つめ
愛された日々を思い起こす

●詩「月のように」

ただ月のように
認知症の母の傍らに静かに佇む
何かをしているように
何にもしていないように
見つめているようで
見つめられているようで

ただ月のように
母の心に静かに耳を澄ます
聞いているように
聞かれているように
役に立っているようで
役に立っていないようで

ただ月のように
母の命を静かに受け止める
受け入れるように
受け入れられているように
愛しているようで
愛されているようで

ただ月のように
ただそれだけでいい
何かをするということではない
何かをしないということでもない
することとしないことの
ちょうど真ん中で
することとされることが交叉する
ただ月のように
ただそれだけでいい

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『支える側が 支えられ 生かされていく』
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●藤川幸之助氏の介護体験を語った
『致知』インタビューはこちら 

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 今回も最後までお読みくださり、

   ありがとうございました。感謝!

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