どんなに辛くても自分が登らない限り 頂上には立てない 第 321号

 女性初のエベレスト登頂者で、世界初

の七大大陸最高峰登頂者でも

ある田部井淳子さん。

 大病を克服され、76歳のいまも

登山家として活躍中です。

 その田部井さんの原点となる

お話を紹介します。

────────[今日の注目の人]───

★平常心で日々を生ききる★

田部井 淳子(登山家)

───────────────────

 七十六歳になったいまでも忘れられ

ない出来事があります。

 それは小学校四年生の夏休み、担任

の先生に連れられて栃木県の那須

に山登りに行ったことです。

 生まれ育った福島県の三春町から出た

ことのなかった私は、山には緑が覆

い茂っているものだと思っていました。

 しかしそこは火山で木も草もなく、

川の水は高温でした。

 辺り一面に硫黄の臭いが漂い、

山頂付近は夏なのに寒い。

 こんな場所があるのかと強い衝撃を

受けたのです。

 体が弱く全く運動ができない私に、

「山登りはゆっくりでいいんだ

よ」と先生が声を掛けてく

ださったのも印象に残っています。

 登山は競争ではなく、どんなに辛く

ても自分が登らない限り頂上には

立てないという明快なルール

にとても納得しました。

 初めて登頂した時に見た景色と達成

感は鮮明に覚えています。

 学校で机に座っているだけでは学べ

なかった、自分の足で歩き、目で

見て肌で感じたその経験はと

ても強烈で、私の登山家

としての原点となりました。

※田部井さんの山への憬れは膨らみ、就職

した年には山岳会に入り、山登りに

没頭していかれます。

 田部井さんはある時、南極越冬隊隊長・

西堀栄三郎さんと出会い一つの言葉

をプレゼントされます。

 その言葉がその後の田部井さんの登山

人生を支えることになるのです。

 『致知』2016年7月号  

       連載「致知随想」P89

  今回も最後までお読みくださり、

    ありがとうございました。 感謝!            

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