助けてほしいのはやっぱりお母さんなんだよね 第1,301号

クリニクラウン(臨床道化師)として
医療施設で過ごす子供とその親御さんに
笑いを届け続けている塚原成幸さん。

未熟児で生まれてきたお子さんと
お母さんのエピソードからは、
親子間に流れる心の温かみが伝わってきます。

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 塚原 成幸(臨床道化師)
    ×
 村上 和雄(筑波大学名誉教授)
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【村上】
具体的にはどんなことをされているのですか。

【塚原】
例えば生まれてすぐの新生児が、
NICU(新生児集中治療室)に入ったとします。

そうすると、その子のお母さんの心理状態はどうかというと、
「ごめんね、ごめんね」を連呼するというケースがほとんどです。
というのも、生まれてすぐに保育器の中に入れられるので、
自分の腕で抱くこともほとんど許されないんですね。

いまは500グラムで生まれてきた子も
ちゃんと育つといわれていますがお母さんにしてみると、
小さい状態で産んでしまったことで自分を責めてしまい、
そんな自分を受け入れられないまま子育てがスタートします。

そうすると子供が大きくなっていっても、
そのことが気持ちの中にずっと残るんですね。
だから子供の風邪がちょっと治りにくかったりすると、
小さい時のことが影響しているんじゃないかというように、
口には出さないけど引きずってしまう。

だけど気持ちを楽にしてくれる誰かが入ることによって、
例えば病室にいる子供に近づいていくと、
最初は驚いて泣き出したり、ちょっと嫌がったりする。

その時に、「ああ、やっぱり嫌われちゃったな。
お母さんちょっと顔を見せてあげて」と言って、
お母さんに助け船を出してもらうんですよ。
それでその子が泣きやんだりすると、
「やっぱりお母さんは違うな」って言う。

もしくは「お母さん、近づいてきて、
子供の手を握ってごらんよ。ほら、握り返したでしょう。
助けてほしいのはやっぱりお母さんなんだよね」って伝えると、
「ああ、やっぱり私を頼りにしているんだ。

これからは私がしっかりしなきゃな」と思ってくれる。
何でもないことかもしれないけど、
この時間がすごく大事なんですね。

【塚原】そうやってお母さんに笑顔だけじゃなくて、
自信を取り戻させるわけだ。
僕が臨床道化師として10年以上やっていて
すごく無力だなと感じるのは、
日頃子供と関わっている人には絶対に勝てないということです。

もちろん勝ち負けが大切なわけではないのですけど、
勝てないですよ。例えば僕たちがどんなにステップを
練習してダンスしたり音楽を演奏しても、
刺激にはなりますけど子供たちの表面温度を
温めるだけで心の奥底には届きにくいんですね。

ところが、お母さんが見よう見まねで半分苦し紛れの
ステップを踏んで汗だくになっていると、
子供たちは表情を崩して笑うんですよ。

これはすごいことです。だから何だかんだ言って、
やっぱりお母さんなんだなと実感してもらうことが
一番の役割ではないかと思っています。

 『致知』2016年9月号

       連載「生命のメッセージ」P102

 今回も最後までお読みくださり、

        ありがとうございました。感謝!

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