専門知識のみならず交渉能力もなければ首脳会議に出る資格はない 第1,275号

 本当のフランスが見える! 社会人

必読のフランスバイブル。

 人口も国内総生産も日本の半分以下にすぎない

フランスが、国際社会で独自の地位を築いて

いるのはなぜか?外交戦略、超エリート

主義、強い自意識と愛国心等を検証。

 在住者すら知らない「実像」を明らかにする。

 フランスではトップが決めたアイデアやビジョンに

反対なら、議論では勝ち目がないので従業員や

労働者はストやデモの実力行使で対抗する。

 そのため、トップはあらゆるデータなどを並べて、

自分たちが全能力を傾けて作成したビジョン

やプランについて必死で説得する。

 フランスのエリート校では未来の政財界のトップ達

に対して、いかに説得するかなど極めて

実際的な教育を行っている。

 一般市民が長期休暇を満喫している間、熱心に働いて

いるのは国立行政学院(ENA)出身者を中核

とする政財官界の少数エリートだ。

 ENAは第二次大戦後、「いかに国益を守り、国家に

奉仕するか」を至上命題として創設された。

 「大戦でナチス・ドイツの侵攻をあっけなく許した原因の

一つは各分野の指導層が、自分の領域の利益は守って

も国益を守るのを忘れたことだ」との反省から

生まれた。「エリート支配」の批判をよそ

に、「目的はいまも変わらない」と

必死でエリートを養成し続けている。

 フランスにとって外交は、国防と並んで「偉大なフランス」

の不可欠の条件でもある。ドゴール将軍は、「偉大さの

ないフランスはフランスでありえない」と言った。

 これは「フランスは世界に伝えるメッセージを持つ」

「外交は国家の中核を占めるべきだ」の同意語で

あり、フランスが単に過去の栄光にすがった

り、軍事的経済大国を目指すのではないことを意味している。

ENA(国立行政学院)はフランス理工科学校(ポリテク

ニック)、高等師範学校と並ぶエリート校だ。

 これらの学校は高等専門学校(グランドゼコール)と

呼ばれ、国民のごく少数に当たるこうした学校の

卒業生がフランスを実質的に支配している。

 ENAは、「国家の鏡」とか「権力の苗場」と

言われ、よくも悪くもフランスという中央

集権国家、つまり国家的団結や国家

権力が極めて強い国を象徴している。

 卒業生はエナルクと呼ばれ、保革を

問わず政財官界に君臨している。

 ENAは27ヶ月の授業のうち、最初の1年は地方自治体

や在外大使館など外国での実習に当てられる。残りの

15ヶ月はパリ7区にある創立当初からの校舎と

ストラスブールの校舎で行われる。

 共通授業は、領土行政、EU行政、公共管理(財政管理、

人的資源、情報、コミュニケーション、戦略)、経済

的分析と決定、行政・司法、予算・財政、国際

問題と外交行動。ここでは最低2ヶ国語

の完全マスターが義務付けられて

いるが、「フランス語擁護

のためにも相手国の国語をマスター

する必要がある」とその目的は、あくまで国益優先だ。

 ENAの学習科目作成責任者のビヨン氏は、「ここでは

理論や原理、定理は教えません。そういうことは

すでに勉強済みの頭脳明晰な学生に、いか

に現場でそれを実施に移すかをたたき

込む。資料を与え、最良の方法を

見つけ、そして最良の形で

提案することこそ、国益にもつながり、

世界にも貢献できる」と述べ、ENAの教育の

神髄が「実習」であることを強調した。

 ビヨン氏にいわせると、「フランスがエリートの養成に

懸命なのは欧州大陸の真ん中で、あらゆる国の栄枯

盛衰を見てきた結果、国家の存亡は結局、人材

いかんであるということを悟ったから。

それでエリート教育に必死になるのです」ということだ。

 理工科学校は、ナポレオンが創始者といわれる。学生は

入学後、数学、応用数学、物理、化学、生物学、経済

学、機械学、社会学のほかに2ヶ国語、スポーツ

といった科目を履修し、陸軍や国家警察など

の研修もある。学生は2年間の勉強後、

さらに国立パリ高等鉱山学校や国

立土木学校、高等通信学校などに進む。

 恐ろしいフリートーキング。外国人との昼食の最中に

突然、蒙古襲来の話が出てきたら、平均的日本人

として、そういえば、かつて歴史の時間に

習ったことがあったな、とうっすら

思い出す程度ではなかろうか。

 さらに蒙古襲来の第一次、第二次の年代をスラスラ

と暗唱されたら、どう対応するか。

 実はこれに類した状況が1995年、エリゼ宮でシラク大統領

と当時の村山首相、河野外相、橋本龍太郎通産相との間

で展開したとか。サミット後の昼食会での席上だ。

 消息筋によると、パリのギメ美術館から特別に貸し出された

縄文式土器や江戸時代の一双の誰が袖屏風、古代埴輪を

前に、知日家・親日家のシラク大統領がお三方を

相手に、古代史から蒙古襲来、果てはジン

ギスカンと義経の関係などを縦横無尽に話した。

 このとき、大統領と対等にやり合ったのは、読書家で知られる

橋本通産相のみだったとか。しかも大統領が「昨年1994年

は芭蕉の生誕350年、没後300年だったのに日本人が

お祝いをしなかったのが寂しい」との発言に、

「いや『奥の細道』をたどった旅をした

ファンもいましたよ」と反論したとか。

 欧州暮らしの長いある商社マンは次のように述べている。

欧州のきちんとした昼食や夕食は長時間だ。ホストと

招待客の間で専門的な分野の議論のほかに、かな

らずこの種のいわゆる教養を問う話題が出る。

 そういう時に、日本では嫌味にもキザにも聞こえるウン

チクを傾けた会話をしないとダメなのだ。何が

ダメかというと、次回の昼食や夕食に呼ん

でもらえない。商談も進まないというわけだ。

 フランスは私生活を尊重する国である。ジスカールデス

タン大統領がエリゼ宮に「牛乳配達の時間に帰って

きた」ことも、ミッテラン大統領に隠し子

がいても不問にしてきた。

 「フランスの立場」「フランスの提案」「フランスの主導」。

パリ特派員として国際会議や国際的事件を取材している

と、よく聞かされるのがこの3つの言葉だ。

 プロの政治家。フランスでは政治家は「国家の人間」と

呼ばれる。国政という崇高な役割と重責を課せられて

いる、つまりプロである。ミッテラン大統領は

前立腺がんの手術直後、欧州連合条約批准

の是非を問う国民投票を前に、テレビ

の生中継で3時間、政治記者と

丁々発止のやり取りをした。

 記者の方は資料持参だったのに対し、大統領の方は

資料無しで、条約の細部まで熟知していた。

 シラク大統領は1998年の欧州連合首脳会議で、欧州

中央銀行総裁人事をめぐって、12時間も交渉して

フランスの国益に有利な結果を獲得した。

 専門知識のみならず交渉能力もなけ

れば首脳会議に出る資格はない。

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今回も最後までお読みくださり、

ありがとうございました。感謝!

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