悲しいほどの 律義さと志操の高さに圧倒された 第1,578号

 1997年、四大証券の一角を占める山一證券が

突如破綻に追い込まれた。幹部たちまでもが

我先にと沈没船から逃げ出すなかで、

後まで黙々と真相究明と清算業務を

続けたのは、社内中から「場末」

と呼ばれる部署の社員だった。

 社会部時代に「四大証券会社の損失補填」

「日債銀の粉飾疑惑」など、数々のスクー

プを放った伝説の記者・清武英利、渾身

のビジネス・ノンフィクション。

 五月女は野澤に代わって、 社員の前でいき

なり告白した。「山一には約2,600億円の

帳簿外の債務があります」それは長年

にわたって社員たちに隠されてき

た秘密であり、名門企業を瀕死

の淵に追いやっているものの正体であった。

 野澤社長は、記者会見場で自主廃業を発表

した。マイクを握りしめて野澤は突然、

テレビカメラや報道陣の前で泣き

ながら叫んだ。「社員は悪く

ありませんから!悪いの

はわれわれなんですから!

お願いします。再就職できる

ようお願いします」

 従業員組合の幹部たちは、焼き芋社長

が約束を守ったことをテレビで確認

し、深いため息をついた。

 抜け落ちたもう一つは、1年半を要した会社の

清算業務である。社員たちが集めてきた24兆

円の預かり資産を、顧客に返していく後ろ

向きの仕事だった。こうした最後の仕

事場に、社内権力者の取り巻きや

エリート社員の姿はない。その

エリートたちは、調査や

清算業務には加わらなかった。

 「殿軍(しんがり)」という言葉がある。戦

に敗れて退くとき、軍列の最後尾に踏みとど

まって戦う兵士たちのことだ。彼らが盾

となって戦っている間に、多くの

兵は逃れて再起を期す。

 会社破綻を企業敗戦ととらえれば、自主廃業

の後で働いた社員たちは、しんがりの

兵士そのものであった。

 サラリーマンとは、会社があって初めて成り

立つ職業である。会社が潰れれば、社員た

ちは雪崩を打って新たな会社に走ろうとする。

 ところがここに、崩壊した会社に踏みと

どまり、仕事を続けた人たちがいた。

 土壇場で力を発揮した人々は、地位や名誉に

かかわりなく、失うものがないか、失うこ

とを恐れない人間である。彼らが「しん

がり」に加わった動機と結末につい

て、私はずっと疑問に思ってい

た。見返りのない、ひどく

損な役回りではないか。

 私は何度も繰り返したのは、「なぜ、あなた

は貧乏くじと思われる仕事を引き受けたの

ですか?」とい問いかけである。

 圧倒的に多かったのが、「誰かがやらなけ

ればならなかったから」という趣旨の回

答であった。「自分の宿命だった」

「そういう定めになっていた」

「否応なく自分に回ってきた」

 言葉は様々だが、私はサラリーマンの悲しい

ほどの律義さと志操の高さに圧倒された。

 長澤正夫さんのように、「そのために自分は

ここにいたのだと思った」という人もいる。

 清武英利『しんがり:山一證券、

            最後の12人』

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 今回も最後までお読みくださり、

     ありがとうございました。感謝!

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