日々体験するいろんなことに耐えることは尊い修行である 第1,425号

平成6年の刊行以来、続々と版を重ね、
現在までに、実に30刷を数える『凡事徹底』

イエローハットの創業者である鍵山秀三郎氏が
40余年にわたり積み重ねてきた掃除を通して、
「平凡を非凡に努めること」が説かれた本書は、
10万部を超えるベストセラーとなりました。

このたび、刊行されるその続篇
『続・凡事徹底』は、
鍵山氏が行った3つの珠玉の講演を
まとめたものです。

本書の第2章に収録されている講話の中から、
その一部をご紹介します。

…………………………………
日々の試練に耐えることは
宗教的苦行より価値がある
…………………………………

人から不可能だと言われるような
常識外れのことに挑戦しようとすると、
必ずいろんな壁が立ちはだかります。

ドイツの哲学者、ショーペンハウエルは、
何事かをやり始めて成功するまでには
3段階あると言っています。

第1段階は笑い者になる、嘲笑される。

第2段階は激しい反対、抵抗を受ける。

その過程を経て、
第3段階にして成功を遂げることが
できるというのです。

確かに私もそうした経験を
たくさんしてまいりました。

創業当初は、十分な労働環境を
整えることができませんでした。

それでも社員たちには、何とか心を荒ませずに
働いてほしい一心で、せめて身の回りの環境を
美しくしようと考えて職場の掃除を始めました。

その活動はたった一人で始めたことであり、
誰に命じたものでもないのですが、
十年を過ぎた頃から一人、二人と手伝うように
なり、やがて会社の枠を超えて全国に広まり、
いまでは北京、台湾、ルーマニア、イタリア
など、海外にまで広まっています。

ところが掃除を始めた頃には、
「そんなことしかできないのか」
と散々馬鹿にされ、嘲笑されました。

企業研究で当社を訪れたある有名大学の先生から
は「あなたは社長を替わったほうがいいですよ」
とまで言われる始末でした。

私は、ショーペンハウエルのような
偉大な哲学者でさえ嘲笑や抵抗に遭うのであれば、
自分のような凡人がそういう目に遭うのは
当たり前だと考え、それに耐えて
今日を築いてまいりました。

いまは耐えることの大切さを
深く実感しておりますし、
嘲笑や抵抗に耐えられる忍耐心が
自分に備わっていたことを、
本当に幸せに思っております。

仏教に、

「忍の徳たること、
 持戒苦行も及ぶこと能わざるところなり」

という教えがあります。

持戒苦行というのは、
例えば千日回峰行のようなお坊さんの
命懸けの厳しい修行のことを言いますが、
日々体験するいろんなことを我慢する、
耐えるということは、そうした宗教的な苦行も
及ばないくらいに尊い修行であるということです。

私は幸いにして、能なしであったがゆえに
耐えることができたんですね。

これまでいろんな辱めにあってきましたけれども、
もし幾らかの才能があったら
とても我慢できなかったでしょう。

逆に、中途半端な才能なんか
持っていなくてよかったと思うくらいです。

創業時には、商品を売りに行っても
まず相手にしてもらえることはありませんでした。

名刺も受け取ってくれない。
取ってくれたと思うと目の前で破り捨てられる。

バケツの水をかけられる。
自転車を蹴倒され、積んでいた商品が
そこら中に散乱してしまったこともあります。

それでも私は耐えました。

だから今日こうして健全でおられるわけです

もしあの時に私が腹を立てて行く先々で
喧嘩をしていれば、きょう皆さんの前に
立つことはできなかったでしょう。

皆さんも

「忍の徳たること、
 持戒苦行も及ぶこと能わざるところなり」

という教えを、ぜひとも
心に刻んでいただきたいと思います。

 今回も最後までお読みくださり、

       ありがとうございました。感謝!

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