暗号解読という営みに向けられるアメリカの国家的執念 第1,526号

 かくも重大な世界史的秘密が長期間、多くの

人々の眼から隠されてきたことへの驚き封印

されてきた歴史の真実。第二次世界大戦時、

アメリカはソ連の諜報活動に操られていた!

 『ヴェノナ文書』とは、アメリカとイギリスの

情報機関が、1940~1944年のソ連の暗号を解

読したもので、1995年のアメリカの情報

公開法によって一斉公開された。

 「ヴェノナ」とは、第二次世界大戦中の1943

年、アメリカ陸軍によって始められたソ連暗号

の傍受・解読作業に対して付けられたアメリ

カ側の作戦名(プロジェクト)である。

 当時、連合国の間で、英米側は、ソ連が

ナチスドイツと単独講和を結ぼうとして

独ソ交渉を行っているのではないか、

との疑いを強めていた。

 そこで、ソ連の外交電報の傍受・解読に

よって、その証拠をつかみ交渉の内容を

把握しておこう、という目的でこの

「ヴェノナ作戦」が開始されることになった。

 周知の通り、日本やドイツが使用していた暗号

は、大戦以前から英米によってしばしば解読

されおり、とりわけ第二次世界大戦中は、

ほとんど余すところがないほど、日独

のほぼすべての暗号は、英米当局

によって解読され尽くしていた。

 しかし、ソ連の暗号はそうではなかった。

通信の効率ではなく、何よりも機密の

保全を最重視したソ連は、理論上、

絶対に解読不能と考えられて

いた「一回限りの破り捨て乱数表」

(ワンタイム・パッド)を用いていた

からであった。

 そのため、「ソ連の暗号は解読不能」と

いうのが、戦後も長い間、専門家や歴史

家の常識とされていた。しかし、事実

は違っていた。それを知ったときの

驚きは今でも覚えている。

 1943年といえば、アメリカは国力を挙げて

日本およびドイツとの戦争に集中していた

時期である。その時期に、日独の暗号

への取り組みと併行させながら、

アメリカはソ連暗号の解読

作業に、それこそ血の

滲むような努力を積み重ねていたのである。

 暗号解読という営みに向けられるアメリカ

の国家的執念の凄さを、まず強く

印象づけられる。

 この「ヴェノナ作戦」による成果が、冷戦

終焉後の1995年になって「ヴェノナ」文書

(ファイル)としてアメリカ政府によって

公表されるのである。

 中西輝政・監訳『ヴェノナ:解読

   されたソ連の暗号とスパイ活動』

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今回も最後までお読みくださり、

       ありがとうございました。感謝!

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