書物は先人の知恵の固まりであり多様な視点や考え方を悟る事が出来る 第 1,755 号

 今や、いずれのアイデンティティを優先的に

選択し、自らの人生を切り開いていくのか、

それこそが一つの基準となる時代になっ

たと言ってもよい。「アイデンティ

ティの分断」が加速する時代に

おいて、能動的な選択をする

日本人が一人でも増える

ことを願ってやまない。

 筆者は、 金融機関を中心とした日本企業や、

感度の高い一部の経営者に、米国政治の状

況を分析して提供することを生業としている。

 それらのサービスを提供している背景には、

筆者自身が歩んできた独特の「選挙」と

「政策」のキャリアがある。

 18歳の時、初めて日本の議員事務所の門を

叩いてから、既に20年以上の年月が流

れたことに自分でも改めて驚く。

 まだ丁稚だった頃、毎日のように泥水を

すすりながら地元活動に汗を流した日々

は、今でも鮮明な記憶として残っている。

 その中で、筆者は門前の小僧として先輩らに

ノウハウを叩きこまれた結果、地方議会選、

市長選、知事選、国政など、次第に小中

大へと、さまざまなレベルの選対を

取り仕切るようになった。

 この時、身に付けた選挙に関する情勢分析

と実務スキルは、現在でも血肉となっ

て骨身に染み付いている。

 複数の新興政党や、知事市長らのマニフェ

スト作成という機会に恵まれ、一定の政策

的な知見、および選挙PRのノウハウを

得られたことは非常に幸運だった。

 事務所に訪ねてくる、多くの利害関係者の

主張を裏方として調整し、候補者の演説

草稿や政策集の文言に落とし込んで

いく作業は、 政策の背景を理解

する上で貴重な経験となった。

 「前近代的なアイデンティティ」

への対処には読書が有効。

 前近代的なアイデンティティとは、地縁

血縁身分などの自然発生的な基礎環境

によって付与されるものを指す。

 このようなアイデンティティが絶対的な前提

とされた場合、自らのアイデンティティを覆

い尽くされないために何が必要だろうか。

 それは「読書」である。相対的に未開な環境

で育ってしまった場合、人間は自らの頭で

思考する能力が奪われてしまいがちだ。

 しかし、それは本当に思考力が存在しない

のではなく、単純に知識不足によって物事

を考える視座が不足しているだけのことだ。

 したがって、前近代的なアイデンティティ

の分断から抜け出るために必要なのは、情

報のシャワーを浴びることである。

 書物は先人の知恵の固まりであり、読書に

よって多様な視点や考え方を身に付ける

ことで、前近代的な思考から抜け出

すために、自分が何をすべきかを悟るだろう。

 渡瀬裕哉『なぜ、成熟した民主

     主義は分断を生み出すのか』

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 今回も最後までお読みくださり、

     ありがとうございました。感謝!

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