物を大切に扱う姿勢は「おかげさま」「もったいない」の 精神に通じている 第 806 号

 奈良県天理市に佇む日本最古の神社の一つ、

石上(いそのかみ)神宮。

 宮司の森正光さんと村上先生のお話から

は、日本の歴史の懐の深さがじん

わりと伝わってきます。

───────「今日の注目の人」───

森 正光(石上神宮宮司)
   ×
村上 和雄(筑波大学名誉教授)

───────────────────

【村上】
 そもそも日本人の精神の中に、そういった

神話の世界が生きていると私は思います。

 例えば、「おかげさま」という言葉があり

ますが、これは外国語には訳せない。

 「おかげさまで」と言うと、外国人は「何の

おかげですか?」と聞いてくるんですよ。

 でも我われにしてみれば、神様でもご先祖

様でも、自分を少し越えたような存在を

感じていればそれでいいんです。

 「おかげ」というのは影なんですね。

 表じゃない。これは陰と陽の世界にも通ずる

話であって、現れた現象の後ろにあるもの

に対して、我われ日本人は「おかげ

さま」と言う。

 それから「もったいない」という

言葉も訳せないんですよ。

 単に「節約する」という意味ではなく

て、その物をつくってくれた人へ

の感謝の念が表されている。

 こういった日本の精神的伝統というのは、

それこそ何千年と続いてきているわけ

で、そう簡単には消えるもので

はないと私は思っています。

【森】
 人間、目に見えるものばかりじゃなく

て、見えないものもやはり大切

にしてほしいですね。

 よく言われているじゃないですか、「いま

の世の中は心を大切にする時代だ」って。

 確かにそうかもしれませんが、私は物も

大切にすべきだと思うんです。

 というのも、いまは何でも使い捨てになっ

てしまいましたが、物を大切に扱う姿勢と

いうのは、そのまま先生がおっしゃる

ように、「おかげさま」「もったい

ない」の精神にも通じますからね。

 心を大切にするとは、本当はそういった

ことだと思うんです。

※日本最古の神社である石上神宮の歴史に

ついては本誌でお楽しみください。

『致知』2017年10月号【創刊記念号】

      連載「生命のメッセージ」P116

今回も最後までお読みくださり、ありがとう

            ございました。感謝!

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