田中角栄の4側面・政治家、実業家、資産家、虚業家 第 351 号

 私は「田中角栄研究」以来、いくつかの

プロジェクトを通して、大テーマでかつ長丁場に

わたる取材に関しては、資料の系統的蓄積と分類が

不可欠であることを体験的に学んだ。

 「事件の核心」の取材がはじまると同時に、

資料専従班を設けて、この事件に関するあらゆる

活字メディアの完全なスクラップとその分類作業

を続けさせた。

 したがって、新聞、週刊誌、月刊誌にのった

あらゆる資料が、時系列でも、分類項目別でも、

すぐにひけるようになっていた。

 それに大宅文庫にあったあらゆる関連資料を

コピーしてきて、すべてをカード分類し、新しく

取材されてくるデータもすべて項目別に、分類される

システムを作り上げていた。

 こうした作業は、もし事件が数週間で終わるもの

だったら、無駄骨に終わったかもしれない。

 しかし、ロッキード事件のように半年以上も続く

事件となると、凄まじい威力を発揮してくる。

 児玉誉士夫は29歳のとき、笹川良一の紹介で、

海軍の山県正郷中将に可愛がられ、海軍航空本部の

物資調達機関として、児玉機関を作るにいたった。

 児玉機関は、軍需物資の調達専門の一種の商社で

あって、諜報機関ではない。

 日本人数百人、現地人数千人を擁し、終戦までに

当時の金で35億円(いまの兆単位)分の物資を、

海軍に納めた。

 アメリカ陸軍省参謀第二部(情報担当)の

ストロングは、児玉や旧軍幹部に日本版ゲーレン

機関の復活を期待した。

 ゲーレン機関について解説したい。

 戦争中、ドイツ陸軍には「東方外国軍課」の名で

知られる参謀本部第十二課があり、ゲーレンは

その課長をつとめていた。

 ここは、東方に関する情報活動の総元締めで

その守備範囲は、全東欧諸国から、スカンジナビア

諸国、バルカン諸国にまでまたがっていたが、

主たる対象はむろんソ連だった。

 ゲーレンは巨大なスパイ組織をソ連に張り巡らすと

ともに、情報を解析する専門家集団を持ち、膨大な

情報を常に最新のファイルに整理蓄積していた。

 ドイツの敗北が目前に迫ったとき、ゲーレンは

自分の機関の活動を停止させて、休眠状態におき、

重要資料をバイエルンの山中に埋めて保存して

おいた。

 ゲーレンの予測では、米ソの同盟関係がくずれる

のは時間の問題に過ぎず、いずれ米ソ対立の時代

が来る。

 その日になれば、アメリカは対ソ情報を得るために、

旧ドイツ軍情報部の力を頼らざるをえない。

 なぜなら、ゲーレンがすでに持つ情報能力と同じもの

をアメリカが独力で築きあげるためには、数年の時日が

必要で、それでは対ソ戦略上、時間的には間に合わない

だろうというのだ。

 ドイツ降伏の2週間後、潜伏していたゲーレンは、

部下の情報将校4名を連れて、アメリカ軍司令部に自ら

出頭して降伏する。

 そして自分たちの組織と資料とノウハウを身ぐるみ

引き取らないかという交渉をする。

 そして1946年の7月から、ゲーレン機関は、

試験的にスパイ活動を鉄のカーテンの向こう側で

再開することを許される。

 ここにおいて、ゲーレンたちは、単に蓄積して

いた情報が優れていたばかりではなく、休眠させて

いたスパイ機関が見事に生きて働くという

ことを実証した。

 旧日本軍の特務機関は、ドイツのゲーレン機関

のように、アメリカにとって利用価値のあるもの

だったろうか。

 答えはイエスである。

 対ソ情報、特に東部ロシアに関しては、関東軍が

蓄えていた情報は世界でも比類ないものだった。

 関東軍は、さまざまな情報活動でえた情報をもとに、

満蒙シベリア一帯の綿密な兵要地誌を作り上げていた。

 兵要地誌というのは、軍事作戦を展開する上で必要な

あらゆる情報が盛り込まれた地誌である。

 そこには、地形はもとより、軍事情勢、交通、資源、

産業、政治、民情など、あらゆる情報が

盛り込まれていた。

 田中角栄についての評価は、あっという間に驚くほど

変貌した。

 彼が時代の寵児であったときは、プラスのイメージで

満ち溢れていた。

 庶民宰相、人情家、抜群の政策マン、時代の先取り

感覚、頭の回転の早さ、柔軟性、官僚たちの心服、

新時代のビジョンを持った政治家などだ。

 河野一郎と佐藤栄作の政権争いにおいて、なぜ佐藤が

勝てたかという分析がある。

 「政治家が一国の宰相となるために不可欠な因子が

なんであるか、だれも定式化した人はいない。

 政治的見識、国民的人気、財界での人気、金集め

の能力、官僚の操縦力、党内での指導力、ホワイト

ハウス筋での評価、常に大義名分をわがものに

する能力、健康であること。

 実際はともかく外見上身辺が清潔であること、

マスコミを操縦できること、風貌においていかにも

大物らしい貫禄があること、などなど」

  立花隆

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今回も最後までお読みくださり、ありがとう

            ございました。 感謝!

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