相手の話を熱心に心で受け止める姿勢に.人は鉄舟の虜になる 第 408号

 山岡鉄舟と聞いて、どのようなイメージを

持つだろうか。

 一般的には禅と書と剣の達人だろう。

 新撰組ファンならば、その前身である浪士隊の

エピソードで記憶に残っているかもしれない。

 他に、明治天皇の家庭教師、清水次郎長との

交友が知られているところだろう。

 少し歴史に詳しい読者なら、江戸城無血開城に

おける勝海舟・西郷隆盛会談に先立ち、彼が

幕府特使として官軍に派遣されたことを

思い出すだろうか。

 本書は、新たな資料と取材、そこに若干の

想像力を加えて執筆したものである。

 彼は、優れた交渉人、行政マン、経営者であり、

危機管理の達人でもあった。

 そんな新たな鉄舟像を軸に、激動の時代を

読み解いていく。

 心の奥で理解したことが書となって表現される。

 したがって見る者の心に響く。

 鉄舟は生涯を通じ、人の話を熱心に聞くことに

よって、相手を引き付けている。

 決して人より新しい思想や考え方、人より卓越

した論理的戦略を口にして相手を引き付けて

いるわけではない。

 なぜか人は鉄舟の周囲に集まる。

 相手の話を熱心に心で受け止める姿勢に、

人は鉄舟の虜になるのである。

 「武士は胆力を練らなければ、いざと

いう時にうろたえる。

 胆力を練るためには剣と禅が一番だ」

鉄舟の父がよく言っていた言葉だ。

 鉄舟は、仲間内の加わる余地のない勢いの議論を、

ひたすら教えを乞う姿勢で聞いていた。

 幕臣でありながら反論することなく、真剣に議論

に耳を傾ける彼に対して彼らの誰もが好意を持った。

 彼らは好意を持っただけでなく、鉄舟の約束を

守るという実行力にも驚かされた。

 「晴れてよし、曇りてもよし、富士の山、元の

姿は変わらざりけり」と超越した心境に

云った男が、山岡鉄舟である。

 西郷隆盛は、鉄舟のことを、次のように

評している。

「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ

人は、どうにも始末におえない。

 しかし、あのような始末におえぬ人でなけ

れば、天下の大事は語れないものです」

 西郷は鉄舟と出会い、のちに彼を若き

明治天皇の教育係に推挙する。

 鉄舟は、幼い頃より、四書の素読、書道、

剣術をみっちり学ぶ。

 素読は苦手だったようだが、書道は、

得意だったようだ。

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今回も最後までお読みくださり、ありがとう

            ございました。 感謝!

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