自らの知的資産として活かしきる術を身につけていた 第 334号

 1996年、多くのファンに惜しまれつつ永眠した

作家司馬遼太郎氏。

 源義経、豊臣秀吉、新撰組、そして坂本竜馬

らの志士を通じて日本人と日本文化の原点を

描いた歴史小説の数々を振り返りその魅力

を再評価するとともに、交流のあった

著名人らが思い出と氏の横顔を綴る。

 「司馬文学の魅力」の章では、経済ジャーナ

リストの野村隆夫氏が、司馬作品が特に高度

経済成長期を支えたビジネスマンから熱い

支持を得た理由について論じている。

 それは、作品のヒーローを同時代の人物になぞら

えて読み解く楽しみがあるからだという。

 そのほか、井上ひさし氏、野坂昭如氏らがエッ

セイを、また小渕恵三首相、橋本龍太郎議員

ら政治家、財界人が作品の魅力に

ついて語っている。

 96年に発行された単行本の文庫版。

 国民作家として親しまれ、いまなお我々日本人

に生きる勇気を与え続ける司馬遼太郎

へのレクイエム。

 司馬さんの資料集めは徹底していた。

 たしかに膨大な資料を収集していた。

 馴染みの古本屋さんにお願いしてどんどん

送ってもらう。

 そしてそれを丸ごと買ってしまう。

 司馬さんは趣味と名のつくものはなんにも

なくて、資料を読むことだけが唯一の楽しみ。

 どれだけ膨大でもぜんぜん億劫がらない。

 書斎に続いた、庭に面したサンルームの椅子に

座っていつも楽しそうに資料を読んでいた。

 寝る前も寝室で読んでいた。

 資料を読むことは書くこと以上に好きだった。

(司馬の奥さん、福田みどり)

 取材や対談などで外に出ない日は、一日、

資料を読んで原稿を書いて過ぎていく。

 そのあいだに散歩があって、大体三時か

ら四時のあいだ家の周辺をぶらぶらする。

 私が初めて司馬遼太郎先生の作品に接し

たのは、大学生のときである。

 最初に読んだ『国盗り物語』が大げさに

いえば私の人生を変えた。

 なぜなら、それまで歴史小説をさほど

読まなかった私が、以降むさぼるよう

に歴史小説を読むようになったからだ。

 なにしろ、司馬作品を読んでいると、歴史の

面白さに引きずりこまれてしまう。

 遊びたい盛りの学生時分に、司馬小説を読む

ために、学校から真っ直ぐ家に帰った

こともあった。(小泉純一郎)

 初めて読んだ司馬遼太郎さんの作品は

『梟の城』だった。

 当時学生だった私が、忍者ものなら、という

単純な興味から手にした。

 しかし従来の自分の発想とはまったく異質な

考え方に触れた覚えがある。

 以来、司馬さんの作品はほとんど読んできた。

(橋本龍太郎)

 『坂の上の雲』の作中、こんな話がある。

 秋山真之は、日清戦争後、海軍からアメリカに

留学した。

 そしてニューヨークで戦術研究の権威だった

アルフレッド・マハン大佐から教えを

乞うことになる。

 そのときにマハンは、陸戦も海戦も同じだ、

過去の戦史から実例を引き出して徹底的に

しらべ、「そこから得た知識を分解し、

自分で編成しなおし、自分で自分

なりの原理原則をうちたてる」と教えている。

 司馬さんの織り成す話の綾をなすものは、蓄積

された広汎かつ緻密な史的考証である。

 その博学ぶりは敬意に値する。

 しかも単なる史実の集積に終わらせず、自らの

知的資産として活かしきる術を身につけていた。

(両角良彦)

 司馬作品には、漢の典型というべき美しい

日本人が次々に登場する。

 坂本龍馬の説得術、西郷隆盛の洞察力、

そして黒田如水の人間観察眼。

 それらは常に自分たちの上司や同僚と比較

されながら読まれてきた。

 日本興業銀行の中山素平は「財界の鞍馬

天狗」と渾名される。

 だが中山の財界活動をみれば、むしろ「財界の

坂本龍馬」ともいうべきではないか。

 両者には、共通点がある。

 第一に、卓越した調整力。

 そして第二に、引き際の見事さ。

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  今回も最後までお読みくださり、ありがとう

             ございました。 感謝!

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