自分達の生の意義を自問自答していたと実感するのだ = 2-2 = 第1,478号

 実際に特攻隊の出撃を見送った人々は皆、

いかに彼らが立派で、「まるで神のよう

にみえた」かということを語る。出撃

の際の白黒の、少々ぼやけた写真を

見ていても、私にも何か普通では

考えられないような感情を秘め

た雰囲気が充分伝わってくる。

 彼らの直筆の書を読むと、はっきり日本が

敗戦に向かっていることを自覚した上で、

自分達の死が日本にとってどんな意味

合いがあるのか、必死に見つけ出

そうとしている軌跡が表現されている。

 いかに彼らが冷静に、しかしもがき苦しみ

ながら、その葛藤の中にそれぞれの答えを

見出そうとしていたのかが良くわかる。

 送別会において、10名を代表して畠山少尉が

特攻教官へ、淡々と、悟りきったように、静

かに、しかし力強く別れの言葉を述べた。

 「先輩を差し置いて、未熟な私達が栄えある

特攻先陣を拝命して、責任の重大さを痛感

しています。将校、准士官、下士官、

兵と、出身と階級は異なっても、

祖国を愛する愛国心に変わり

はありません。

 戦争が終わったら、世界から尊敬される、

平和で豊かな文化国家を建設して、人類

の平和と繁栄に貢献する、日本を再建

してください。部下の遺族のことを、

よろしくお願いいたします」

 田形准尉は「後のことは頼みます」という

言葉にこそ、特攻精神の真髄が秘め

られていると感じた。

 フィリピン、日本、アメリカと特攻隊員達

への尊敬と慰霊をみてくると、真の意味で

国のために貢献する、究極的には殉ずる

という行為の価値と困難さを知って

いる人達だけが、特攻隊員の魂を

真に癒しているように感じる。

 知覧特攻平和会館の来館者の多くが、特攻

隊員達の遺書に接して、その筆跡の素晴

らしさ、内容の立派さに感動し、いか

に特攻隊員達が、自分達とは違うの

だろうかという感嘆の気持ちを表現している。

 数多くの遺書や日記を読めば読むほど、現代

を生きる私達が想像もできないくらいの

レベルで、自分達の生の意義を自問

自答していたと実感するのだ。

 英国の戦史家であるバジル・ハートはいう。

「もし平和を欲するならば、戦争を正しく

理解しなければならない」

 日本という国に生まれ、日本という国を信じ、

国への忠誠を果たす。戦争さえ終結すれば、

今、ここで自分達が命を懸けてこの国を

守れば、平和でかつ尊敬に値する国

である日本は再生するという想

いを、彼らは抱いていた。

 本当の意味で、特攻隊員達の死を無駄に

するか、すなわち特攻隊員達を犠牲者

とするかは、現代を生きる私たち

にかかっている。

 彼らの精神、そして散華していった目的を

現代に生かし、特攻隊員たちが望み、希求

していたような祖国日本をつくりあげる

ことで、彼らの遺志は達成される。

 特攻要員となった隊員達の宿舎を当時の軍の

上層部が、励ましに訪れることもあった。

しかし、実際に隊員達に接してみると、

階級でも年齢でもずっと上の参謀達

が、何もかける言葉がなくなって

しまったという。

 むしろ、そんなときは特攻隊員達が、「私たち

に任せてください。しっかりやりますから」と

言い、どちらがどちらを励ましているのか

解らなくなってしまったと、田形

准尉は私にそう語った。

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 今回も最後までお読みくださり、

       ありがとうございました。感謝!

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