自然の風土や歴史信仰などの背景が料理となって表れる 第 545号

 型破りな義父母との日常は、仰天の連続。

愛娘を奪った「宿敵」である著者が、ぶれない

白洲夫妻のシニカルで愛ある肉声を交えながら綴る、

知られざる白洲家の物語。

 第一線を退いてからの白洲次郎は、いくつかの

会社の顧問や相談役をしたり、海外の知人に

よる日本進出の相談に乗ったりしていた。

 鶴川にいる時間も増え、もっぱら家族に頼まれた

テーブルや収納箱などを作っていた。

 次郎は鶴川には一切仕事を持ち込まず、赤坂の

タウンハウスや先方の会社、ホテル

などで仕事をしていた。

 鶴川への来客といえばほとんど正子の

客人で、骨董商や作家、陶芸家、

画家、学者や編集者だった。

 わたしも休日で自宅にいるときは陪席

させてもらうこともあった。

 歴史や骨董、名の知れた文士や文化などの話題で

まさに談論風発、彼らは夜更けまで酒を飲んだり

鍋をつついたり、とても楽しく過ごしていた。

 ただ私はそのほとんどの話題に付いていけず、

とても惨めで悲しい思いをしながら、

黙って聞いている他はなかった。

 わたしも中学の歴史の本から始めて、勉強し

なおそうとすると、正子からこう言われた。

 「それも良いけど、あなたそれなら、何でも

良いから一つ、好きなことに集中して

井戸を掘りなさいよ。

 そうすればそのうち、地下水脈にたどり着くの

そうすると色んなことが見えてくるのよ」

 「素人の女が男に酌なんかするな」(次郎)

 白洲一家は食べること、酒を飲むことを、

とても大切にしていた。

 「料理にはその土地の文化が詰まっていて、生きて

いくための糧というだけでなく、自然の風土や歴史、

信仰などの背景が、料理となって表れているから、

作り手の心をも味わうために、盛り付ける器

にもこだわる」(白洲正子)

 次郎と正子の娘であり、わたしの妻である桂子には、

わたしはお酌をしてもらったことはほとんどない。

 次郎が、「素人の女が男に酌なんかするな。俺だけ

には特別許す」と言っていたからだ。

 バーやクラブに行った時にもてるための心得という

のは、次郎が笑いながらよく話してくれた。

1.席に着いた女性には万遍なく話しかけ、

 一人と話し込むな。

2.金払いは綺麗に。

3.言い寄られたら即座に断れ。

 我が家の隣の白洲の家で、スコッチの水割りを

楽しんでいたら、新聞記者が突然、訪れた。

 「白洲先生がかかわっている、ある会社の再建計画

について、お聞きしたいのです」

 私はおたおたしていたが、さんざん新聞記者を相手に

しながらGHQと渡り合った男である次郎は平然と、

 「僕は何にも知らんよ。

知っていたとしても何も喋らんよ。

僕はね、口が堅いからここまで生きてこられたんだ

 その記者さんも潔く、それ以上追及することを

諦め、「失礼しました」と帰っていかれた。

 ちょっとカッコいいシーンとして、

はっきり覚えている。

 牧山圭男

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 今回も最後までお読みくださり、ありがとう

             ございました。感謝!

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