33年再会を願い続け見事に再会が果たされた 第 929 号

 味わい深い仏法説話で知られる曹洞宗

の尼僧・青山俊董さん。

 青山さんの心に残るある少女との

思い出について語られています。

 そのお話を、ぜひ味読ください。

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青山 俊董(愛知専門尼僧堂堂頭)
     ×
戸澤 宗充(日蓮宗一華庵・サンガ天城庵主)

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【青山】 
 悲しみ、苦しみは「アンテナを立て

よ」という仏様からのプレゼント

だと私は思います。

 アンテナさえ立てていれば、必要とする

人や物事に瞬間にでも出会えるし、立て

なければ生涯一緒にいたって真に出

会うことも、そこから教えを

得ることもない。

 そういう意味で、私の心に残っている

出会いを一つご紹介しましょう。

 随分前になりますが、奈良へお話をしに

行った時に、ちょっと時間が取れたの

で久々に法隆寺を訪ねたんです。

 古い塀に沿って南大門のほうへ歩いて

いると、小学校の修学旅行生たちの集

団が急ぎ足で私を追い越していく。

 不意に一人の女の子が列を抜けて、

私に丁寧に合掌をして頭を下げ

てくれたんです。

 「あっ!」と思って、咄嗟に私も合掌

をお返ししながら思ったんです。

 「昔から“親の言うとおりにはなら

ないが、親のするとおりになる”

言われてきたが、どういうご家

庭で育った娘さんだろう。

 法隆寺へ来て、この娘さんに

会えてよかったな」と。

 法隆寺は1,500年の歴史を持っており

ますが、どちらかといえば過去形。

 いまの娘さんの合掌は瞬間では

あっても生演奏ですからね。

 大変印象に残ったものですから、後に

私の法話をCDにする際に、その

ことにも触れました。

 そうしたら、あれはいまから何年前に

なりますかな、講演会でお話をして

会場を出たところで、40代くら

いの奥様が眼にいっぱい涙を

溜めて握手を求めてこられ

て、「33年前に、先生に

法隆寺で合掌をさせて

いただいた者です。

ずっとお目にかかりたいと念じており

ました」と。もうびっくりしました(笑)。

【戸澤】 
 まぁ、奇跡のような再会ですね。

【青山】 
 たまたま雑誌の連載記事で私のことを

知って、CDを求めて聴いたらその話

が出てきたので、「これ私っ!」

って躍り上がったっていうんです。

 あの時、南大門の前を皆で移動して

いると、一人の尼僧が歩いていて、

七色に輝いて見えたと(笑)。

 追い越してはいけないと思ったけど、一

人止まるわけにもいかないので、「すみ

ません、お先に失礼します」という

思いで合掌をしたら、にっこり

微笑んで合掌を返された。

 そのお顔をしばらく拝んでいたいと思

いつつ、心を残して走り去りました。

 それから30年、ずっとずっとずっと

お会いしたいと念じ続けており

ました」と言うんです。

 その方はいま、国際的なフルート奏者

として活躍なさっていますが、まさ

にアンテナが立っていた。

 それから33年再会を願い続けたと

いうこと。願いの相続です。それに

よって見事に再会が果たされた。

 出会いというのは本当に

不思議なものですね。

『致知』  2018年2月号

                連載「活機応変」P70   

今回も最後までお読みくださり、

    ありがとうございました。感謝

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