人間として普遍的に正しいことを追求し.理想を追い続けよう 第 143 号

 京セラ創業期のこと。

 まだ経営者として経験の浅い稲盛氏のもと

に、決済を求めて列をなす部下たち。

 それに対して何を基準に判断を下せばよい

かと逡巡した稲盛氏が辿りついた結論とは──

 稲盛氏が体験的に掴んだ

リーダー論に学びます!

────────『今日の注目の人』──

◆ 稲盛和夫氏のリーダー論 ◆

稲盛 和夫(京セラ名誉会長)

───────────────────

 私は全く経営というものを知らなかった

のですが、縁あって27歳のときに京セ

ラという会社を創っていただき、経

営することになりました。

 従業員28名の小さな会社でしたが、創業

するとすぐに決めなくてはならないこと

が山ほど出てまいりました。

 「これはどうしましょうか」と次々

社員が決済を求めてきます。

 私にはそれまで経営の経験があるわけ

でもなく、経済も経理も知りません

でしたが、それでも判断を下して

いかなければなりません。

 私は何を基準に判断していけばいい

のか判らず困り果てていました。

 悩み続けた結果、「人間として何が正しい

のか」をベースにして、つまり、最も基本

的な倫理観に基づき、「人間として

正しいことなのか」「正しくない

ことなのか」「善いことなの

か」「悪いことなのか」

 を基準にして判断していく

ことにしたのです。

 現実の社会は、不正が平然と行われて

いたり、利己的で勝手な行動をとる

人がいたりと、決して理想的な

ものではないかもしれません。

 しかし、世の中がどうであろうと、

私は「人間として何が正しいか」

を自らに問い、常にだれから

見ても正しいことを、つま

り、人間として普遍的に

正しいことを追求し、

理想を追い続けようと決めたのです。

 「人間として正しいことを追求する」

ということは、どのような状況におか

れようと公正、公平、正義、努力、

勇気、博愛、謙虚、誠実という

ような言葉で表現できるもの

を最も大切な価値観として

尊重し、それに基づき

行動しようというものです。

 今考えてみますと、何の経営の経験もない

私が、京セラやKDDIをそれなりの企業

に育てることができましたのも、この

ような「人間として正しいこと」

をひたすら追求してきたからだと思うのです。

    『致知』1997年11月号 

         連載「巻頭の言葉」

  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。 感謝!

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