自分に与えられた時間をどう生かし何を創造するか 第 138 号

 ただ忙しいと感じるだけで、時間を

無駄にしていないだろうか──。

 そう思うことはありませんか?

 本日は流れる時間を有意義なものに

するために活用できる、一流人物

の時間管理術をお伝えします。

────────『今日の注目の人』──

◆ あなたが時間の創造主 ◆

牛尾 治朗(ウシオ電機会長)

───────────────────

 経営は、そこにどれだけの時間を投入

したかによって決まるものです。

 しかし私は、青年会議所(JC)を卒業

した後も多数の公職に携わり、経営

との両立を図ってきました。

 私にそれができたのは、自分なりの

時間の哲学を持っているからです。

 一日に使える時間は、睡眠や食事

など生活に必要な時間を差し

引くと、14時間あります。

 一週間で100時間とすれば、一年では

5,000時間ほどになります。

 ビジネスマンの一般的な労働時間は

このうち2,000時間程度ですから、

自分で管理できる時間は年間

3,000時間もあります。

 多くの人は、この3,000時間をどう

使うかということが不明確なために、

ただ忙しいという感覚だけで無為

に時間を費やしてしまうのです。

 私は自分の使う時間を、情報を

インプットする時間とアウト

プットする時間、仕事の

時間とプライベート

の時間、プライベートの中でも勉強

する時間と純粋に楽しむ時間に

色分けして手帳に記し、それ

らのバランスを常にチェ

ックしています。

 経営の重責を担っている以上、仕事に

費やす時間が2,500時間、3,000時間

に達することも当然あります。

 経営者に限らず、仕事で何かを成そう

というのであれば、当然多くの時間

を投入すべきでしょう。

 それでも私は、5,000時間の自分の時間を

常にしっかりとデザインしていたので、

経営以外にも様々なことに従事

することができたのです。

 50歳を過ぎてからは、「無所属の時間」

を意識するようになりました。

 これは作家の城山三郎さんの言葉で、人は

会社や団体など、どこの組織にも属さ

ない無所属の時間を持ち、そこで

どう生き直すかを自身に

問わなければならない。

 それが人間の大きさをつくる

というのです。

 私自身も、経営以外の時間に、様々な

感動、感激、悲しみ、苦しみを味わい、

多様で彩りに富んだ体験をすること

が、経営にもプラスになること

を実感しています。

 仕事に追われ、自分の時間が持てない

と嘆く人はたくさんいますが、実は

一人ひとりが毎日、自分の個性を

どう生かし、与えられた時間を

いかに使うかということを

試されているのです。

 音楽にたとえるなら、楽譜を渡され、

自由に演奏してみなさいと言われて

いるようなものなのです。

 ベートーヴェンの交響曲『運命』は

一つですが、小澤征爾が指揮する

のと、カラヤン、バーンスタ

イン、フルトヴェングラー

が指揮するのとでは、

演奏時間も曲の強弱もまったく違います。

 自分に与えられた時間をどう生かし、

何を創造するかはその人次第。

 流れる時間は有意義なものにも、

無益なものにもなります。

 一人ひとりが人事を尽くし、豊かな人生

を築いていただきたいものです。

    『致知』2010年6月号 

          連載「巻頭の言葉」

  今回も最後までお読みくださり、

     ありがとうございました。 感謝!

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