人々も自然も 時間の流れも穏やかな日本!! 今は ? 第 243 号

 古き良き日本の心を、独特な感性と偏見のない

公平な眼差しで、克明に書き記した小泉八雲

(ラフカディオ・ハーン)。

 明治以降、失われゆく日本の心を八雲はどのように

見ていたのでしょうか。

────────[今日の注目の人]───

★ 小泉八雲が目指したもの ★

池田雅之(早稲田大学教授)

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 八雲がバンクーバーを出航して横浜港に到着したのは、

1890年の4月4日。

 桜がほころび始めた春、空は晴れ上がり、

無数のカモメが船の周りを飛び交い、

遠くには美しい富士山が見えたと言われていますが、

 八雲は初めて見た日本の印象を「日本への冬の旅」

の中で次のように記しています。

……改めて港の光景を眺めると、その美しさは

想像を絶するものがある。

 光の柔らかさといい、遠方まで澄み切った

感じといい、すべてを侵している青味がかかった

色調のこまやかさといい

(中略)

 すべてが澄明だが、強烈なものは何もない──  

すべてが心地よく見慣れぬものではあるが、

強引なものは何もない。

 これは夢の持つ鮮やかさ、柔らかさという

ものだ!

 この文章から、八雲は横浜に上陸してすぐ、

まさに日本との決定的な出合いを果たした

ことが伝わってきます。

 また同時に、親しい友人に宛て、

 「ここは、私の霊がすでに1,000年もいる所の

ような気がします」と、

 後に日本が終の住処となる八雲の運命を暗示するか

のような手紙も書き送っています。

 そして、早朝の横浜港に到着した八雲は、早速、

人力車で横浜の街を巡ります。

 その印象を記録したのが、「東洋の第一日目」

という作品です。

 八雲はとりわけ、車夫や街ゆく人々の眼差しに

“驚くほどの優しさ”を感じ、

次のようにその感動を綴っています。

 このような思いやりのある、興味のまなざしや

笑みを目の当たりにすると、初めてこの国を訪れた

者は、思わずお伽の国を彷彿としてしまう

ことだろう。

 おそらく、競争社会のイギリスやアメリカで

人生のあらゆる辛酸を舐めた八雲にとって、

人々も自然も時間の流れも穏やかな日本は、

一つのユートピア(理想郷)のように映ったので

しょう。

 また……

※全身全霊で日本文化を体験した小泉八雲。

その豊かな感性から紡ぎ出された日本の原風景は、

本誌でじっくりと堪能してください。

『致知』2016年5月号  特集「視座を高める」P36

 今回も最後までお読みくださり、ありがとう

              ございました。 感謝!

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